gpt-oss を MLX-LM の API サーバで Dify や Open WebUI からムリヤリ使う方法

(Google のインデックス登録がうまくいかないので、タイトルとか内容とかちょこちょこいじってます)

先日アップした記事では、MLX バージョンの gpt-oss を MLX-LM の API サーバで動かすと Dify や Open WebUI 等では正しく動作しないと書きましたが、server.pyに変更を加えることでチャットだけはできるようになりました。手元の環境では動いていますが、ビビって MLX-LM には PR せずに Issue だけあげてあります (↓ 2コ)。本家が解決したら不要になる情報ですがせっかくなので共有します。

https://github.com/ml-explore/mlx-lm/issues/364 → (2025/08/15 加筆) 修正がコミットされたようなので、近くバージョンアップで修正されそうです

https://github.com/ml-explore/mlx-lm/issues/365 → (2025/08/15 加筆) 「クライアント側で対応すべき内容」と言うことでクローズされました

フォークした repo (↓) には変更済みのserver.pyを置いてあるので、よかったらどうぞ。Dify や Open WebUI 等の API クライアント側の対応を待たずに MLX-LM で gpt-oss が動きます。

https://github.com/tokyohandsome/mlx-lm

前回の記事はこれ:

各種バージョン等

Issue に書いてますが一応。

  • Open Web UI: v0.6.20
  • Dify: 1.7.1
% pip list|grep mlx
mlx 0.28.0
mlx-lm 0.26.3
mlx-metal 0.28.0
%
% python -V
Python 3.12.11

不具合の内容

詳細は上の issue を見てもらいたいのですが、ざっくり以下の内容です:

  1. LLM からのレスポンスが途中で終わってしまう: 何か制御コードみたいなものが含まれているのかと思ったら、ただのカラ文字が原因だった感じです。カラ文字は送らないようにしたら動くようになりました。トークナイザの不具合?
  2. チャットで 2つ目のプロンプトを投げるとサーバでエラーが発生する: 本来 API クライアント側で<|channel|>から<|message|>の思考部分をサーバに送り返さないのが正解だと思います (なので MLX-LM では上記 issue は対応無し)。ただまぁボクの場合、ローカルで動かしているだけなので、サーバで該当部分を捨ててしまうようにしました。

素人目にはそんなに根が深いわけではなさそうなので、かなり近いうちに修正されるんじゃないかと思ってます。(2025/08/15 追記) 1. は新しい MLX-LM のバージョンで修正されそうです。2. はクライアント側での対応が必要です。

手っ取り早く使うには

上記の通り現状 MLX-LM では gpt-oss 個別の対応はされないようで、Open WebUI や Dify などの API クライアント側での MLX 版 gpt-oss 対応を待たなければならないようです。ボクのように MLX の速さやにとりつかれていて API で MLX 版を使いたいという人は、server.pyだけ上書きして使ってみてください。mlxmlx-lmmlx-metalのバージョンは上記と合わせたほうが良いと思います。

仮想環境にクローンして使うならこんな感じです (ポートなどはご自由に)。

git clone https://github.com/tokyohandsome/mlx-lm
pip install -r requirements.txt
python -m mlx_lm.server --host 0.0.0.0 --port 9999 --log-level DEBUG

本家の MLX-LM を入れて、ボクがいじったserver.pyだけを差し替える方法も参考として貼っておきます。pipenvを使ってますがお使いの仮想環境でどうぞ:

mkdir gpt-oss_mlx-lm
cd gpt-oss_mlx-lm
pipenv --python 3.12 # 3.8 以上なら OK
pipenv shell
pip install mlx==0.28.0 mlx-lm==0.26.3

# インストールされたバージョンの確認
pip list|grep mlx

# 元のファイルを .original としてコピーしておく
mv .venv/lib/python3.12/site-packages/mlx_lm/server.py .venv/lib/python3.12/site-packages/mlx_lm/server.py.original
curl https://raw.githubusercontent.com/tokyohandsome/mlx-lm/refs/heads/main/mlx_lm/server.py -o .venv/lib/python3.12/site-packages/mlx_lm/server.py

上の最後の 2行で元のファイルをserver.py.originalとして保存し、変更済みのserver.pyをダウンロードしています。これで準備完了です。

以下コマンドで OpenAI API コンパチの MLX-LM サーバが起動します (例ではポート9999)。

mlx_lm.server --host 0.0.0.0 --port 9999 --log-level DEBUG

Open WebUI 等から gpt-oss に接続し、Terminal に流れるトークン全てが表示され、2回目以降もチャットが続けられれば成功です!

MLX-LM API Server のモデルを Open WebUI や Dify から使う方法は別記事に詳しく書いていますのでどうぞ:

ついでにserver.pyの変更箇所 (diff) を貼っておきます。+の行にあるのが今回追加した部分です:

diff .venv/lib/python3.12/site-packages/mlx_lm/server.py.original .venv/lib/python3.12/site-packages/mlx_lm/server.py
--- .venv/lib/python3.12/site-packages/mlx_lm/server.py.original	2025-08-15 21:05:24
+++ .venv/lib/python3.12/site-packages/mlx_lm/server.py	2025-08-15 21:15:34
@@ -694,2 +694,8 @@
             logging.debug(gen_response.text)
+
+            # --- Added from here ---
+            if not gen_response.text:
+                logging.debug("Skipping empty token.")
+                continue
+            # --- to here ---
 
@@ -837,3 +843,37 @@
             messages = body["messages"]
+
+            # --- Changes from here ---
+            # Modify message based on the `mlx-lm` chat template.
+            for message in messages:
+                if message["role"] == "assistant":
+                    content = message.get("content", "")
+                    if "<|channel|>analysis<|message|>" in content and "<|channel|>final<|message|>" in content:
+                        try:
+                            analysis_start_tag = "<|channel|>analysis<|message|>"
+                            analysis_end_tag = "<|end|>"
+                            final_start_tag = "<|channel|>final<|message|>"
+
+                            analysis_start = content.find(analysis_start_tag) + len(analysis_start_tag)
+                            analysis_end = content.find(analysis_end_tag)
+                            final_start = content.find(final_start_tag) + len(final_start_tag)
+
+                            analysis = content[analysis_start:analysis_end].strip()
+                            final = content[final_start:].strip()
+
+                            message["content"] = final
+                            message["thinking"] = analysis
+                        except Exception as e:
+                            logging.error(f"Failed to parse assistant message with analysis/final tags: {e}")
+                            # If parsing fails, leave the content and empty thinking
+                            message["thinking"] = ""
+            # --- to here ---
+
             process_message_content(messages)
+
+            # Moved response_format before `apply_chat_template`
+            if body.get("response_format", {}).get("type") == "json_object":
+                if self.tokenizer.chat_template is None:
+                    raise ValueError("JSON response format requested, but tokenizer has no chat template. Consider using `--use-default-chat-template`")
+                messages.append({"role": "user", "content": self.tokenizer.json_schema_prompt})
+
             prompt = self.tokenizer.apply_chat_template(

それでもまだ LM Studio が優れているところ

というわけでムリヤリながら Dify や Open WebUI でも MLX 版 gpt-oss でチャットができるようになったわけですが、OpenAI 社が推奨する思考部分をユーザから隠すということができません。そこは正式対応済みの LM Studio が勝っていますね。Dify や Open WebUI も Qwen/Qwen3-32B-MLX-4bit なんか使ってると思考部分は隠せているので、gpt-oss (というか Harmony response format) の正式対応が進んでくれたらいいな、と思っています。

単純に思考部分を完全に見えなくするだけであれば、どうせ今回紹介している方法では乱暴にオリジナルのスクリプトを書き換えて使っているので、server.py<|channel|>から<|message|>までのメッセージをクライアントに返さないように改造してしまっても良いかもしれません。

ところで今回どうやって直したか、とか

せっかくなので LM Studio で gpt-oss を動かして協力してもらいながら解決まで持って行きたかったんですが、テストするときには MLX-LM でも gpt-oss をロードする事になりメモリキャパオーバによるクラッシュの危険性が高いので避けました。で、ChatGPT に相談を始めたものの全然解決に近づいている感じがなく時間ばかりがかかりギブアップ。次に Gemini (2.5 Flash) に相談し始めてからはほぼ最短コースで解決にたどり着いた感じです。この時には質問方法や内容に慣れて、深掘りすべきところにもある程度見当が付いてきたこともあったとは思いますが、Gemini を見直しました。

質問の時には、使っている環境、症状の詳細、関係している可能性が高い Python スクリプト全体 (server.py)、サーバのエラー、クライアント (Dify や Open WebUI) のエラー、等を詳細に伝えることで解決できた感じです。ChatGPT はコードの修正をお願いすると全く違うものが出てきたりして使えなかったです。もしかしたら動いたのかも知れませんがとても pull request には使えないものだったので (そういう意味では gpt-oss もそういう用途では使えないのかな)。Gemini は最小限の追加で、コードを差し込むところの説明含め正確でした。

余談ですが、最近プログラマ不要論みたいなのがありますよね。生成 AI で置き換え可能、とかなんとか。確かに最近は 20B~30B 程度のサイズの LLM でもざっくりとしたプロンプトから一発でブロック崩しゲームを書いてくれたりしますが、狙ったとおりの変更やバグの修正などを上手に行うにはプログラムの知識は必要だと思いますね。

おまけ: gpt-oss-20B と Qwen3 30B A3B の SVG 対決

プロンプト: SVG で UFO が牛をさらっている画像を作ってください

(貼ったのは PNG にしたものです)

まずは inferencerlabs/openai-gpt-oss-20b-MLX-6.5bit

文章で説明するのはズルイ。ま、やっちゃダメとも言わんかったか

次に nightmedia/Qwen3-30B-A3B-Thinking-2507-dwq4-mlx

雰囲気がヨイ!けど人さらってますね

現場からは以上となります!

Image by Stable Diffusion (Mochi Diffusion)

リンゴに絆創膏、というイメージで書いてもらいました。バンドエイドは商標ですが、全くそう見えないものができたのでセーフと自己判断して採用。そろそろリンゴ以外を使った方がいいかもと思いつつも結局こんな感じで、生成 AI ばかり使いすぎて頭がアレになってきた人の特徴でしょうかね。

Date:
2025年8月10日 23:07:43

Model:
realisticVision-v51VAE_original_768x512_cn

Size:
768 x 512

Include in Image:
small band-aid patches on a red apple

Exclude from Image:

Seed:
1709363568

Steps:
21

Guidance Scale:
20.0

Scheduler:
DPM-Solver++

ML Compute Unit:
CPU & GPU

OpenAI gpt-oss はまだ Mac の MLX-LM と Dify や Open WebUI では正しく動かない (対処法あり)

(2025/08/10 追記) MLX-LM のサーバスクリプトを書き換えて Dify や Open WebUI から使えるようにしました。記事はこちら:

ここ 2日程ローカル LLM 界隈で大騒ぎの OpenAI 初のオープンウェイト大規模言語モデル (LLM) gpt-oss。32GB RAM の Mac Studio で MLX 版 20b モデルを試したところ、Dify と Open WebUI では正しく動きませんでした。思考を思考として正しく認識されず全てが垂れ流しされ、MLX-LM から送られてくる制御文字?か何かで出力が途中で止まります。

Hugging Face から落とした同じモデルを使って、LM Studio (最新の 0.3.22 Build 2) では正しく動作しています。Ollama も対応を表明してますがまだ MLX バックエンドは使えないので、2025年 8月 7日現在限定で言えば、Mac で gpt-oss 使う最適解は LM Studio っぽいですね。

(2025/08/08 追記) LM Studio でサーバを動かし OpenAI-API-compatible のモデルプロバイダとして gpt-oss を登録したところ、Dify でも使えました!思考は丸見えですが、それ以外は問題無さそうです。Python でパーフェクトメイズを作るスクリプトは一発でした。その後色々変更を依頼しても毎回正しく動くスクリプトが生成されます。Dify で見えるトークン出力速度は 70 tok/sec を超えています。ヤバい。

使ったモデル

https://huggingface.co/inferencerlabs/openai-gpt-oss-20b-MLX-6.5bit

「6.5bit はほぼ 8bit と同等の性能 (perplexity)」と書かれてあったので、真に受けて選択。同ページにあるように、VRAM が 17 GB 確保できれば動きます。つまり 32GB 以上の RAM を持った Mac ならそのままで動く計算ですが、VRAM 容量を最適化するには別記事 (↓) をどうぞ。

https://blog.peddals.com/fine-tune-vram-size-of-mac-for-llm
↓ が英語ページの場合は、↑ を開いてください

MLX-LM と MLX のバージョンについての注意点

MLX-LM をバックエンド (OpenAI API コンパチブルサーバ) として使う場合は gpt-oss に対応したバージョン 0.26.3 以上が必要になります。インストール済みの環境で使う場合はアップデートしましょう。

pip install -U mlx-lm

MLX は、新規でインストールする場合は問題ないですが、すでに 0.26.5 より古いバージョンが入っていると、そのままアップデートすると動かなくなります。やっちゃった場合は一度削除してから、再度インストールしましょう。ボクはここで若干ハマりました。

pip uninstall mlx
pip uninstall mlx-metal # うっかり 0.26.5 より古いバージョンからアップデートして入ってしまった場合はアンインストール
pip install mlx mlx-metal

情報源はこちらの issue です:

https://github.com/ml-explore/mlx/issues/2402

2025年 8月 7日現在の最新バージョンはこうなります。

% pip list|grep mlx
mlx 0.28.0
mlx-lm 0.26.2
mlx-metal 0.28.0

参考まで、mlxをアップデートしておかしくなった際にサーバを起動しようとして出たエラーを貼っておきます。同じようにlibmlx.dylib' (no such file)が出た場合は上記のmlxのアンインストール&インストールを実行しましょう。

% mlx_lm.server --host 0.0.0.0 --port 8585 --log-level DEBUG
Traceback (most recent call last):
File "/Users/handsome/Documents/Python/mlx-lm/.venv/bin/mlx_lm.server", line 5, in <module>
from mlx_lm.server import main
File "/Users/handsome/Documents/Python/mlx-lm/.venv/lib/python3.12/site-packages/mlx_lm/__init__.py", line 9, in <module>
from .convert import convert
File "/Users/handsome/Documents/Python/mlx-lm/.venv/lib/python3.12/site-packages/mlx_lm/convert.py", line 7, in <module>
import mlx.core as mx
ImportError: dlopen(/Users/handsome/Documents/Python/mlx-lm/.venv/lib/python3.12/site-packages/mlx/core.cpython-312-darwin.so, 0x0002): Library not loaded: @rpath/libmlx.dylib
Referenced from: <8B6A45F7-00BF-3CEA-9AFF-CD76D4BC76F0> /Users/handsome/Documents/Python/mlx-lm/.venv/lib/python3.12/site-packages/mlx/core.cpython-312-darwin.so
Reason: tried: '/Users/handsome/Documents/Python/mlx-lm/.venv/lib/python3.12/site-packages/mlx/lib/libmlx.dylib' (no such file), '/Users/distiller/project/build/temp.macosx-14.0-arm64-cpython-312/mlx.core/libmlx.dylib' (no such file), '/System/Volumes/Preboot/Cryptexes/OS/Users/distiller/project/build/temp.macosx-14.0-arm64-cpython-312/mlx.core/libmlx.dylib' (no such file), '/Users/handsome/Documents/Python/mlx-lm/.venv/lib/python3.12/site-packages/mlx/lib/libmlx.dylib' (no such file), '/Users/distiller/project/build/temp.macosx-14.0-arm64-cpython-312/mlx.core/libmlx.dylib' (no such file), '/System/Volumes/Preboot/Cryptexes/OS/Users/distiller/project/build/temp.macosx-14.0-arm64-cpython-312/mlx.core/libmlx.dylib' (no such file), '/opt/homebrew/lib/libmlx.dylib' (no such file), '/System/Volumes/Preboot/Cryptexes/OS/opt/homebrew/lib/libmlx.dylib' (no such file), '/opt/homebrew/lib/libmlx.dylib' (no such file), '/System/Volumes/Preboot/Cryptexes/OS/opt/homebrew/lib/libmlx.dylib' (no such file)

mlx-lmのバージョンが古い場合は、Dify で gpt-oss を追加する時にERROR - Model type gpt_oss not supportedが出ます。こちらもエラーを貼っておきます。

/Users/handsome/Documents/Python/mlx-lm/.venv/lib/python3.12/site-packages/mlx_lm/server.py:934: UserWarning: mlx_lm.server is not recommended for production as it only implements basic security checks.
warnings.warn(
2025-08-07 18:29:02,619 - INFO - Starting httpd at 0.0.0.0 on port 8585...
2025-08-07 18:29:19,719 - DEBUG - Incoming Request Body: {
"model": "inferencerlabs/openai-gpt-oss-20b-MLX-6.5bit",
"max_tokens": 5,
"messages": [
{
"role": "user",
"content": "ping"
}
]
}
2025-08-07 18:29:19,725 - DEBUG - Starting new HTTPS connection (1): huggingface.co:443
2025-08-07 18:29:19,998 - DEBUG - https://huggingface.co:443 "GET /api/models/inferencerlabs/openai-gpt-oss-20b-MLX-6.5bit/revision/main HTTP/1.1" 200 18528
Fetching 11 files: 100%|███████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████| 11/11 [00:00<00:00, 223967.69it/s]
2025-08-07 18:29:20,048 - ERROR - Model type gpt_oss not supported.
192.168.111.71 - - [07/Aug/2025 18:29:20] "POST /v1/chat/completions HTTP/1.1" 404 -

その他、MLX-LM を LLM のバックエンドとして使う方法は別記事に書いていますので読んでみてください。Mac で速度と LLM がサポートする大きなコンテキストウィンドウを確保するなら MLX-LM が正解です。

MoE の生成速度のたまらなさ

上記したとおり今日現在 LM Studio でしか正しい動きを確認できていませんが、たまたま最近 Alibaba がリリースした Qwen3 Coder 30B A3B Instruct も gpt-oss 同様 MoE という仕組みで動いています。MoE の細かい内容は他のサイトなどを見てもらうとして、ユーザ目線での最大のメリットは、生成速度の速さです。自分の Mac で動くローカル LLM が、ChatGPT や Gemini 等のクローズド商用モデル同等の速度で文字を生成していく様は、ある意味感動的でもあります。

実は最近、Reasoning/Thinking モデルの精度優先でゆっくりとした生成速度に慣れきった頃に触った Qwen3 Coder 30B A3B Instruct (MoE) の高速生成に感動し何か記事を書こうとしていました。ですが実際に生成されるコードの精度自体がイマイチだったのでどうするか思案していたところ、まさかの OpenAI から gpt-oss がリリースされたのでした。gpt-oss は M2 Max でも 50 token/sec 以上 (!) のスピードでリッチな内容と文字装飾でレスポンスが生成されてくるので、マジたまらないですよ。

まとめ

MLX と Dify や Open WebUI で使えた!とか、使えなかった!という情報が見当たらなかったので、今のところ使えませんでした!という内容でまとめました。 → 使えるようにする方法は、別記事にまとめてます:

リーダーボードなどで無視されがちな GLM-4-32B もプロンプトをしっかり書けば良い結果が得られそうだなぁ、と思っていたところに OpenAI さんがオープンウェイトを出してきたので、他の LLM の細かい話は色々うっちゃって、当面は gpt-oss をいじるのが正解な気がしています。

ボクはいくつかの過去記事で、32GB RAM (ユニファイドメモリ) の Mac でローカル LLM を使うのは苦労と工夫が必要だよ!と書いてきたのですが、なんだかんだと 20B~30B パラメータ程の優秀な LLM が定期的にリリースされているので、とりあえず 32GB RAM の Mac を買えばそれなりに充実したローカル LLM ライフをエンジョイできる!そんな世の中になっていると言えそうです。イェイ!

Image by Stable Diffusion (Mochi Diffusion)

まだ gpt-oss の性能がこれまでのオープンウェイト LLM より大幅に勝っているかどうかわからないのでミスリーディングなあおり画像かもですね。とりあえずみんなかわいかったので採用。

Date:
2025年8月8日 1:05:22

Model:
realisticVision-v51VAE_original_768x512_cn

Size:
768 x 512

Include in Image:
major league baseball player with kids

Exclude from Image:

Seed:
850711837

Steps:
22

Guidance Scale:
20.0

Scheduler:
DPM-Solver++

ML Compute Unit:
CPU & GPU

Python の pipenv 環境で専用の alias や export を読み込む

本記事の内容をより正確に書くと「zsh (bash) が読み込まれたときに、カレントディレクトリにあるaliasexportの書かれた設定ファイルを自動で読み込ませる」方法です。Python の仮想環境pipenvは新しいシェルを読み込むので、結果としてalias等を自動的に設定することができます。pipenv環境から抜けると仮想環境内の設定が無効になるため、素や他の環境に影響を与えません。簡単に実現できますが、pipenvを使っている人が少ないのかズバリの情報が見つからなかったのでまとめました。

環境

シェル:zsh (bashでもできるらしいですが未確認です)

Python 仮想環境:pipenv

手順

macOS でpipenvを使うには、まずbrew install pipenvでインストールします。簡単に仮想環境を作る手順はこんな感じです:

mkdir my_project # プロジェクトディレクトリを作る
cd my_project # プロジェクトディレクトリに入る
pipenv --python 3.11 # Python 3.11 が入った仮想環境を作る
pipenv shell # 仮想環境に入る。出るときは exit または ctrl + D

~/.zshrc に一文追加

自分のホームディレクトリにある.zshrcに以下を追加します。コメント文は無くて構いません。

# カレントディレクトリに .zshrc.local ファイルが存在する場合は読み込む
[[ -f .zshrc.local ]] && source .zshrc.local

内容としては、&&の左の部分が条件式で、カレントディレクトリに.zshrc.localファイルが存在しているか調べています。真であれば右のsourceコマンドが実行され.zshrc.localファイルを読み込みます (試してませんが、書式としてはbashでも同じ方法でイケるらしいです)。(2025/07/02 訂正) Bash は上の書式が使えないので、以下の様にしてください。仮想環境内のファイルは.bashrc.localとしています。

if [ -f .bashrc.local ]; then
    source .bashrc.local
fi

pipenv のルートディレクトリに .zshrc.local ファイルを書く

その仮想環境内でのみ有効にしたいaliasexport、その他.zshrcに書けることはもちろん何でも書けます。とりあえず簡単なサンプルは以下の通りです:

alias t='time'
export HW="Hello, World!"

仮想環境に入り、試す

以下、実行例です:

$ pipenv shell # 仮想環境に入る
$ t # alias で登録した time コマンド
(time コマンドの実行結果が表示される)

$ echo $HW
Hello, World!
(export で登録した文字列が表示される)

仮想環境から出て、試す

以下、実行例です:

$ exit # または ctrl + D で仮想環境を抜ける
$ t
zsh: command not found: t
(t というコマンドはない)

$echo $HW

(空行が表示される)

注意点

GitHub 等に公開するプロジェクトでは.gitignore.zshrc.localを忘れずに追加しましょう。

venv でもほぼ同様のことをする

Python の標準的仮想環境ツールvenvでは新たにシェルを読み込まれません。よって、別の方法で同様の事を実現します。

bin/activateの最終行に以下を追加します。~/.zshrcに書いたものと同じです。

# カレントディレクトリに .zshrc.local ファイルが存在する場合は読み込む
[[ -f .zshrc.local ]] && source .zshrc.local

pipenvのやり方よりひと手間増えますが、これで一応同じ様な事ができます。

venv での違い、注意点

上記の方法では、シェルの再読み込みはせずに.zshrc.localを読み込んでいるので、deactivatevenv環境を抜けた後もエイリアスや環境変数が有効になっています。同一のターミナルで仮想環境を抜けた後も別の作業を続けることがよくあるという方は普段の環境変数などが上書きされている可能性があるので注意が必要です (ターミナルを閉じるのが手っ取り早い)。

なぜこんなことが必要だったのか

ボクは最近、mlx-lm.serverでサーバを立てて MLX 版 LLM を使うのですが、Ollama と違ってメモリが解放されない (メモリプレッシャーが高止まり状態になる) ことがちょいちょいあります。仕方が無いのでつど ctrl + C で止めて再度コマンドからサーバを立てるのですが、他のターミナルでコマンドを叩いていたりするとカーソルキーの上ですぐに呼び出せずストレスを感じていました。そこで、pipenvの環境内でのみ有効なaliasを作れないかと思った次第です。

ネット上では想像したほど簡単にその方法が見つからず、ローカルの QwQ や Qwen3、ChatGPT にも相談しながら最終的には自分で解決方法にたどり着きました。それぞれの LLM に評価をお願いしたところ「すばらしい!」と褒めてくれたので、うれしくてブログにまとめました。わはは!

Image by Stable Diffusion (Mochi Diffusion)

この記事にどのような画像が合うのかイメージか浮かばず、とりあえずいろんな自転車のあるショールームを描いてもらいました。依頼内容も画像もこれが正解なのかいまだにわかっていませんけど。

Date:
2025年6月14日 19:47:15

Model:
realisticVision-v51VAE_original_768x512_cn

Size:
768 x 512

Include in Image:
showroom with different types of bycicles

Exclude from Image:

Seed:
1251791658

Steps:
20

Guidance Scale:
20.0

Scheduler:
DPM-Solver++

ML Compute Unit:
CPU & GPU

pipenv –python 3.x コマンドで仮想環境を作れず、エラーも無い、という時の解決方法

新しく作ったディレクトリでpipenv --python 3.13等と叩いたときに、仮想環境が作られない時の解決方法です。エラーは無く、ただ終了してしまう、という状況です。

Python のバージョンは何を指定しても結果は同じ。pipenv shellで構築済みの環境には入れる。pipenv --helppipenv --versionは問題無く動く。PC/Mac の再起動、pipenv のアップデート、どれを試しても変化無し。Pipenvでよく出喰わす問題やローカル LLM、Google 先生に聞いてもこれと言った原因が見つからない。というような状況でした (「出喰わす」は元のページの書き方に従ってます)。

原因

原因は、何かの手違いで上位のディレクトリに仮想環境が作られていたから、でした。仮想環境の中に別の仮想環境は作れないので、pipenv --pythonは失敗していたと言うことのようです。--verboseを付けてもエラーは出ず、自分のミスとはいえ、何かヒントをくれても…と思ってしまいました (pipenv は brew でインストールした version 2024.4.1)。

確認方法

pipenv --venvで、作成済み仮想環境の.venvのパスが表示されます。クリーンな状態であれば以下の様に、環境が無いよ、と表示されます。

% pipenv --venv
No virtualenv has been created for this project/Users/handsome/Documents/Python/NewDir yet!
Aborted!

逆に、構築済みの場合はパスのみが表示されます。ボクの場合は新しく作った NewDir の上のディレクトリに環境があったわけです。

% pipenv --venv
/Users/handsome/Documents/Python/.venv

解決方法

  1. 既存の pipenv 環境下に無いディレクトリに仮想環境を作る
  2. 不要な pipenv 環境を削除する

たいていの場合は 1だと思いますが、ボクのケースでは間違えて作ってしまった環境を削除する必要があったので、以下手順で解消しました。

cd .. # pipenv を削除する親環境へ移動
pipenv --rm
rm Pipfile* 

あまり pipenv の仮想環境だけを作り直すことが無かったので知りませんでしたが、Pipfile (と Pipfile.lock) はpipenv --rmでは削除されないので、手動で削除する必要がありました。

普通はあり得ないミス

ボクの場合、親ディレクトリに Python 3.6 の環境が作られていました。Pipfile のタイムスタンプから 2ヶ月前に作られた様ですが、なぜ 3.6 の環境が 2024年末に必要だったのか全く思い出せません。Python のバージョンを指定しないとエラーになるし、pipenv shell とするとボクの環境では Python 3.13 がインストールされるので、本当に謎です。

ともあれ pipenv が何らかのエラーを吐いてくれたらもっと早く解決できたのに、と思ってしまいました。というわけで、このページにたどり着く人はいないかもしれませんが、自戒の意味も込めて残しておきます。

Image by Stable Diffusion (Mochi Diffusion)

当初「家の建て方を忘れた大工さん」みたいなイメージを考えていたのですがうまく指示出しできなかったので、「住宅街の更地」にしてみました。わかりづらいですけど。

Date:
2025年2月9日 13:57:59

Model:
realisticVision-v51VAE_original_768x512_cn

Size:
768 x 512

Include in Image:
an empty lot between american style houses

Exclude from Image:

Seed:
1751847373

Steps:
20

Guidance Scale:
20.0

Scheduler:
DPM-Solver++

ML Compute Unit:
CPU & GPU

めっちゃ面白いから絶対やって!日本語音声対話 AI の J-Moshi (Mac 対応版) でテキトーなノリ w のお姉さんとおしゃべり

「絶対やって!」とかこれまで書かないようにしてきたんですが、これはムリ。すごすぎる。オモシロ楽しすぎる。というわけで、名古屋大学さんが真面目に作られた (日本語に改良された) Full-duplex音声対話システム、「J-Moshi」のご紹介と Mac ローカルでの使い方の解説です。まずは公式にアップされているサンプルをいくつか聞いてください。

日本語Full-duplex音声対話システムの試作: https://nu-dialogue.github.io/j-moshi

ね?どうですかこの、テキトーに話を合わせて会話をする、まーまー年齢が上っぽい普通のお姉さん AI のコミュ力の高さ!ナチュラルさ!お互いのしゃべりが重なっても話し続ける体幹の強さ (全二重)!真面目に研究されたであろう最先端 AI による抜群のノリの軽さ!もう最高!これが自宅の Mac で実現できる!いやー、もう一度書いてしまう、絶対やって!

と言いつつ一回冷静に水を差しますが、商用利用は認められていませんし、悪用するのはもってのほか、研究や個人で遊ぶ用途でお使いください。ライセンスは CC-BY-NC-4.0 です。

まずは実際に試した感じ

どうしようかと思ったんですけど、せっかくなのでボクも適当に話を合わせて続けた 2:30 程の長さの会話を貼っておきます。ヘッドセットの関係でボクの声はあまり聞こえませんが、一応会話が成立しています。

お姉さんがしゃべってたテキスト (クリックで開く)

こんにちはー今日ねうーん1日1日が曇りだったんだよねー急にテンション上がっちゃうなんかこう蒸れるのとか苦手だからなんかこう寒いと蒸れるとか言ってたけど今日結構寒かったのにと思っていやほんと寒いよねーえっなんか寒いと寒いって言ってたんだけど全然寒くないよねあっほんとだよねだって今日はねちょっとぬるぬるしてるもんもうちょっと寒くなるかと思ってたけど全然もう寒さはありがたい感じだよねなんか暑いとうんなんかこう暑いともう吐いちゃうよねなんかこうースポーツとかしたい時とかにさーって言う人結構いるじゃんうんなんかこうエアコンとかつけっぱなしにちょっとぬるっとっていう感じでいつも着ちゃってるからさーってぬるぬるしてる寒いのはうんぬるぬるしてるあ確かにいいねなんかこう冷え冷えになっちゃいそうだけどえっでもさあっでも冷蔵庫ってやつあるよねほらその寒いときにねえ冷蔵庫ねえのねえ冷蔵庫ってやつだって多分冷蔵庫ってあったよねあったよね冷蔵庫なんかボーンっていうあっほんとだよそれいいかもなんかさー寒いときにさーってつけてるだけでさーっていう人もいるよねいるよねー私あれ駄目であっ本当あー確かに冷蔵庫苦手私も苦手あっそうかそうかそうかうんうんうんうんうんウフフあっ大丈夫大丈夫あっそうかそうかほんとだねそうだねなんかこう冷え冷えになっちゃったりなんか冷えたまんまの味がするんだよねーみたいなのは嫌だよねまあそれでもやっぱり冷蔵庫っていうのはいいなと思ってるんだけどあっそうそうそうそうそうそうそうそうそうだよねあれって結構あれなの冷蔵庫って結構高いんじゃないものねあれねなんかこうものあっそうなんだあっやばいやばいやばいじゃあちょっとこうねーちょっと欲しい人にアピールするわそんなん買ったらさーってそうそうそうそうそう何かこうさーそういうのはねできないからいいよねでもね冷蔵庫かって思うんだよねーでも冷蔵庫めっちゃお金かかるよねーそこがねーあるんだよね

正式には Mac 未対応ですが…

残念ながら Mac には対応していないと公式 GitHub リポジトリには書かれています。

実行には,24GB以上のVRAMを搭載したLinux GPUマシンが必要です.MacOSには対応していません.

https://github.com/nu-dialogue/j-moshi?tab=readme-ov-file

いやいやそんな、Linux で動くならイケるでしょ、と調べてみたらなんとかできました。いつものことですが、先人の皆様に感謝です。一部 Python スクリプトの変更が必要だったので、手順と併せて紹介します。

動いた環境のバージョンなど

  • macOS: Sonoma 15.3
  • python: 3.12.9 (brew install [email protected]でインストールしたもの。3.10 以上必須、3.12 推奨とのこと)
  • rust: 1.84.1 (brew install rustでインストールしたもの。以下に別のインストール方法も書いてます)
  • moshi-mlx: 0.2.1 (以下の手順でインストールします)
  • モデル: akkikiki/j-moshi-ext-mlx-q8 (VRAM 20GB で全く問題無く動きます。より小さな VRAM の場合は Q4 モデルも Hugging Face に公開されていますのでどうぞ。akkikiki さんに大感謝しましょう)

環境構築

ボクは仮想環境の構築にpipenvを使っていますが、普段お使いのでどうぞ。pipenv を使うなら、brew install pipenvで入ります。Python は 3.10 以上が入っていればそのバージョンを指定してください。

mkdir J-Moshi-MLX
cd J-Moshi-MLX
pipenv --python 3.12
pipenv shell
pip install moshi_mlx

PyPi の moshi_mlx によると、Python 3.12 以外では moshi_mlx のインストールの際にエラーが出る事があるらしく、解決するには Rust toolchain のインストールが必要と言うことです。必要に応じて対応してください。ボクは 3.12 を指定したからか、rust がインストール済みだったからか、エラーは出ませんでした。

Web UI を実行

上記で環境構築は完了です。問題無ければ以下のコマンドで Q8 の MLX 版モデルがダウンロードされて Web UI が立ち上がります。

python -m moshi_mlx.local_web --hf-repo akkikiki/j-moshi-ext-mlx-q8 --quantized 8

上のモデルでは大きすぎて VRAM に収まらないという場合は、Q4 量子化バージョンを試しても良いでしょう。ボクは試していないので精度の程はわかりません。

python -m moshi_mlx.local_web --hf-repo akkikiki/j-moshi-ext-mlx-q4 --quantized 4

モデルはいつもの場所にダウンロードされていました。いつか削除する時が来るかもしれないので、念のためパスを残しておきます:

~/.cache/huggingface/hub/models--akkikiki--j-moshi-ext-mlx-q8

エラーが出る場合は Python スクリプトを一部変更

環境構築は上で完了しているのですが、ボクの環境ではそのままでは動きませんでした。新しいバージョンでは修正されるかと思いますが、とりあえず web UI を実行してみて、エラーが出る場合は以下変更で動くと思います。

対象ファイル: .venv/lib/python3.12/site-packages/moshi_mlx/local_web.py

    #model.warmup()
    model.warmup(ct=None)

変更を保存したら、再度上に書いた Web UI の実行をしてください。参考のためエラーが出たときの実行例をそのまま貼っておきます。

% python -m moshi_mlx.local_web --hf-repo akkikiki/j-moshi-ext-mlx-q8 --quantized 8
[Info] [SERVER] loading text tokenizer /Users/handsome/.cache/huggingface/hub/models--akkikiki--j-moshi-ext-mlx-q8/snapshots/8b8d069a2bf3b73c4dcb45ae1481e797b8e4bae1/tokenizer_spm_32k_3.model
[Info] [SERVER] loading weights /Users/handsome/.cache/huggingface/hub/models--akkikiki--j-moshi-ext-mlx-q8/snapshots/8b8d069a2bf3b73c4dcb45ae1481e797b8e4bae1/model.q8.safetensors
[Info] [SERVER] weights loaded
Process Process-2:
Traceback (most recent call last):
File "/opt/homebrew/Cellar/[email protected]/3.12.9/Frameworks/Python.framework/Versions/3.12/lib/python3.12/multiprocessing/process.py", line 314, in _bootstrap
self.run()
File "/opt/homebrew/Cellar/[email protected]/3.12.9/Frameworks/Python.framework/Versions/3.12/lib/python3.12/multiprocessing/process.py", line 108, in run
self._target(*self._args, **self._kwargs)
File "/Users/handsome/Documents/Python/J-Moshi-MLX/.venv/lib/python3.12/site-packages/moshi_mlx/local_web.py", line 132, in model_server
model.warmup()
TypeError: Lm.warmup() missing 1 required positional argument: 'ct'

使い方

うまく動けば多分ブラウザで自動的に開くと思います。ターミナルにエラーは無いのにブラウザで開かないときは ↓ を開きましょう。

http://localhost:8998

ポート番号が既存のサービスとぶつかっていたら、起動コマンドに--port ポート番号を追加して使っていないポートを指定できます。問題無く起動している場合は、ターミナルにこんな表示がされると思います。

% python -m moshi_mlx.local_web --hf-repo akkikiki/j-moshi-ext-mlx-q8 --quantized 8
[Info] [SERVER] loading text tokenizer /Users/handsome/.cache/huggingface/hub/models--akkikiki--j-moshi-ext-mlx-q8/snapshots/8b8d069a2bf3b73c4dcb45ae1481e797b8e4bae1/tokenizer_spm_32k_3.model
[Info] [SERVER] loading weights /Users/handsome/.cache/huggingface/hub/models--akkikiki--j-moshi-ext-mlx-q8/snapshots/8b8d069a2bf3b73c4dcb45ae1481e797b8e4bae1/model.q8.safetensors
[Info] [SERVER] weights loaded
[Info] [SERVER] model warmed up
[Info] [SERVER] connected!
[Info] [CLIENT] received 'start' from server, starting...
[Info] retrieving the static content
[Info] serving static content from /Users/handsome/.cache/huggingface/hub/models--kyutai--moshi-artifacts/snapshots/8481e95f73827e4e70ac7311c12b0be099276182/dist
[Info] listening to http://localhost:8998
[Info] opening browser at http://localhost:8998

終了するときはターミナルで Control + C です。

^C[Warn] Interrupting, exiting connection.
[Info] All done!

実際の Web UI はこちら ↓

無事に立ち上がった様子。オリジナルの Moshi の説明文で J-Moshi とはなってませんが、これで大丈夫

必要に応じて [ Settings ] から設定の詳細が変更ができます。

Validate ボタンで変更を確定、もしくはそのまま戻る。Reset ボタンでデフォルトにリセット

メインの画面で [ Connect ] をクリックすると、おそらくマイクをブラウザで使用する許可を求められますので、許可しましょう。注意: ヘッドセット推奨です!

Safari の場合

後は適当に会話をしてみましょう。おそらくあなたが思う以上に中のお姉さんはテキトーで、そのうち話を切り上げて来たり、ハルシネーションして同じ事を繰り返したりもしますが、おおむね薄っぺらい会話を楽しく繰り広げてくれます。

表示されるのはお姉さんがしゃべったことだけ。誘い笑いにつられてしまう

会話は 5分が限度らしいので、それなりのタイミングで [ Disconnect ] ボタンで会話を終了すると、それまでの会話を音声かビデオでダウンロードできるようになります。ただ、ビデオにはお姉さんの文章が表示されるわけでも無いので、保存する場合は、Download audio で音声 mp4 のダウンロードで良いと思います。

Download audio で音声を保存。お姉さんのしゃべっていることを見ると、適当さがよくわかる

いや、ホント楽しい

これはね、正直本当にすごい。生成 AI の楽しさや可能性を改めて感じました。

ボクが初めて生成 AI をいじった時って、使い方がわからないから「西野七瀬ちゃんが乃木坂を卒業した理由を教えて」とか聞いてみたんですね。すると「音楽性の不一致です。その後アーティストとして独立し、先日ファーストシングルを発表しました」とか言われて、なんだこりゃ生成 AI って使えねーじゃん、と思ってしまいました。で、その経験をふまえて音声で会話ができるこの J-Moshi はどうなのかと言うと、むしろ AI のテキトーさが楽しく、さらに音声品質の高さと相まって普通に受け入れてしまいました。っていうか、いっぺんに好きになっちゃいました!

少し話はそれますが、今日の日中は仕事で調べたいことがあったので、インストールしたもののあんまり使っていなかった DeepSeek-R1:32B に気まぐれで色々と Nginx 関連の相談してみました。その結果回答精度の高さに感心し、もはや Reasoning モデル以外のモデルは使えないと感じてしまいました。せっかく買った深津さんのプロンプト読本で書かれている、それまでは常識だった「生成 AI は、次に来そうな文章を確率で答えるマシン」を超えてしまっているんですね。ほんの数ヶ月しか経っていないのに。

で、同じ日の夜に試した J-Moshi ですが、改めて AI の進歩の速さに驚き、それまでの王道やスタンダード、ベストプラクティス、パラダイムその他もろもろが一瞬で過去のものになる感覚を体感しました。M1 Mac が登場した時にリアルタイムに世の中が変わるのを肌で感じた、あの感覚の再来です。

もうほんと、M シリーズの Mac をお持ちでしたら、ゼヒやってみてください。実質タダだ (電気代以外かからない) し、実用性はどうかわかりませんがとにかく楽しいですよ!(真面目に考えたら実用性も色々ありそうです)

注意: 音声やしゃべり方がリアルなだけに、何かの拍子に同じ言葉を大量にリピートしたりされると結構な不気味さや恐怖を感じます。テキストベースの LLM である程度のハルシネーションに慣れている方の方が安全に使えるかもしれません。

Image by Stable Diffusion (Mochi Diffusion)

「日本人女性が電話で楽しそうにしゃべっている」画像を作ってもらいました。使っているモデルの関係で、日本人は大体同じ様な女性が生成されます。今回は割と早めにいい感じの女性が現れたので、ブキミを避けるためにステップ数を調整して完成しました。電話機の不自然さには目をつむり、女性の表情の自然さを重視しています。

Date:
2025年2月8日 2:01:17

Model:
realisticVision-v51VAE_original_768x512_cn

Size:
768 x 512

Include in Image:
Japanese woman on the phone having a happy conversation

Exclude from Image:

Seed:
3240758836

Steps:
27

Guidance Scale:
20.0

Scheduler:
DPM-Solver++

ML Compute Unit:
CPU & GPU

MLX-LM で QwQ-32B-Preview を API ストリーミング (Ollama より速い)

Ollama のこちらの issue に、MLX バックエンドのサポートをおねだりするコメントがたくさんあり、中には llama.cpp (GGUF) より 20~40% も高速という書き込みがあったのでお気に入りの QwQ-32B-Preview MLX 版を試してみました。OpenAI の o1 の様に試行錯誤を繰り返して回答の精度を高めるオープンなモデルです。結論から言うと、確かに少し速いです。該当のコメントを書き込んだ人は M3 ということなので、M4 を含んだ新しめチップ搭載 Mac ならもっと違いが実感できるのかもしれません。せっかくなのでやり方を残しておきます。

ところで、↓ これって Ollama 公式の X ポストなんですかね? Ollama で正式に MLX バックエンドがサポートされる匂わせとも取られています。

2025年6月22日追記: Ollama 0.9.2 でも MLX はサポートされていません。MLX と Ollama (GGUF) の簡単な比較を行った記事も書いたのでどうぞ:

MLX って?

ざっくり言うと、Apple 社純正の、Apple シリコン用機械学習フレームワークです。GPU だけではなく、CPU も使えるみたいです。性能は、100% というわけではなさそうなんですが、いろいろな実験をされた方々の記事を見てみると PyTorch で MPS を使用したときより速いというケースもあるらしいです。

MLX 公式 GitHub: https://ml-explore.github.io/mlx/build/html/index.html

詳細はブラウザの翻訳機能でも使って読んでください。Safari ならアドレスバーの右にあるこのアイコンで日本語に翻訳できます:

というわけで、「MLX 版 LLM」なんて呼んでいるのは、上記 MLX で動くように変換された、オープンな LLM のことです。

MLX-LM とは

MLX で動くように変換された LLM の実行環境です。言語モデルのみ対応しています。実行の他、Safetensor 形式 (HuggingFace にあるオリジナルのモデルはだいたいコレですね) を MLX 形式に変換したり、API サーバを実行する機能もあります。今回の記事では、API サーバとして利用する方法を紹介しています。

MLX-LM 公式 GitHub: https://github.com/ml-explore/mlx-examples/blob/main/llms/README.md

似たような実行環境に MLX-VLM というのもあり、こちらは Pixtral や Qwen2-VL 等のビジョンモデルに対応しています。

MLX-VLM 公式 GitHub: https://github.com/Blaizzy/mlx-vlm

上記二つの MLX-LM と MLX-VLM 両方の API サーバとして動作する FastMLX という Python パッケージもあり機能的には魅力的なのですが、ビジョンモデルは画像の URL かパスしか受け付けなかったり (Dify では使えない)、テキストのストリーミングがうまくいかず例外が出たりして結構工夫しないと使えなさそうなので、これまでのところくじけてます。興味がある方はどうぞ。

FastMLX 公式 GitHub: https://github.com/arcee-ai/fastmlx

LM Studio でも使えます

LM Studio は MLX モデルが使えるので、別に Dify 使わない・使っていないという方はこれ以上読み進めなくて大丈夫です。また、Dify には OpenAI API コンパチのモデルプロバイダとして LM Studio を登録して使うこともできますが、LLM からのレスポンスがなめらかにストリーミングされません。特に日本語の部分は結構な量がまとまって表示されるケースが多いです。なので、Dify から API で MLX の LLM を使うなら、MLX-ML のサーバ機能を利用するのが良いかと思います。

以下、内容はビジョンモデルですが、LM Studio の API を Dify から使う方法を別の記事にしてあるので参考にしてみてください。

MLX-LM で API サーバを立てる

インストール

MLX-LM を利用するには、まず仮想環境に MLX-LM をインストールしてください。今回使ったバージョンは、最新の0.20.4でした。

pip install mlx-lm

一度サーバを立てる

サーバを立てるにはmlx_lm.serverコマンドを使用します (実コマンドはインストール時のハイフンと違いアンダースコアなので注意)。Dify (や他の API クライアント) が別のホストで動いているとか、他のサーバがポートを使用している等という場合は、下の例のようにオプションを指定してあげます。ボクは Dify が別の Mac で動いていて、テキスト読み上げ (text-to-speech) サーバが動いていたりするので、それぞれを指定しています。オプションの詳細はmlx_lm --helpを見てください。--log-levelは付けなくても問題ありません。

mlx_lm.server --host 0.0.0.0 --port 8585 --log-level INFO

こんな表示が出れば動いているはずです。

% mlx_lm.server --host 0.0.0.0 --port 8585 --log-level INFO
/Users/handsome/Documents/Python/FastMLX/.venv/lib/python3.11/site-packages/mlx_lm/server.py:682: UserWarning: mlx_lm.server is not recommended for production as it only implements basic security checks.
  warnings.warn(
2024-12-15 21:33:25,338 - INFO - Starting httpd at 0.0.0.0 on port 8585...

モデルをダウンロードする

ボクの場合 32GB の RAM で動いてほしいので、4bit 量子化されたもの (18.44GB) を選んでいます。

HuggingFace: https://huggingface.co/mlx-community/QwQ-32B-Preview-4bit

MLX-LM サーバが動いている状態で別のターミナルウィンドウを開き、以下の様な簡単なスクリプト書いて保存し、Python で実行してモデルをダウンロードします。

import requests

url = "http://localhost:8585/v1/models"
params = {
    "model_name": "mlx-community/QwQ-32B-Preview-4bit",
}

response = requests.post(url, params=params)
print(response.json())
python add_models.py

ダウンロードが完了したら Ctrl + C でサーバを一度終了します。あ、ちなみにこの方法でダウンロードしたモデルは、LM Studio からも読めますので、どちらも試す場合はコマンドで入れる方法が容量削減になります (ただしフォルダ名は人にきびしい)。

モデルを指定して API サーバを立ち上げる

モデルの保存場所は~/.cache/huggingface/hub/の中で、今回の例ではmodels--mlx-community--QwQ-32B-Preview-4bitというフォルダになります。サーバを立ち上げるコマンドに渡すパスはさらに深く、snapshotの中、config.jsonファイルが含まれるフォルダとなります。そちらを指定して API サーバを立ち上げるコマンドはこんな感じです:

mlx_lm.server --host 0.0.0.0 --port 8585 --model /Users/handsome/.cache/huggingface/hub/models--mlx-community--QwQ-32B-Preview-4bit/snapshots/e3bdc9322cb82a5f92c7277953f30764e8897f85

無事にサーバが上がると、ブラウザからダウンロード済みモデルが確認できます: http://localhost:8585/v1/models

{"object": "list", "data": [{"id": "mlx-community/QwQ-32B-Preview-4bit", "object": "model", "created": 1734266953}, {"id": "mlx-community/Qwen2-VL-7B-Instruct-8bit", "object": "model", "created": 1734266953}]}

Dify に登録する

OpenAI-API コンパチブルのモデルとして登録

Dify へは、OpenAI-API-compatible の LLM モデルとして登録します。モデル名は上に度々登場しているもので、URL にはポートと /v1 が必要、Delimiter には適当に \n\n を入れるくらいで大丈夫だと思います。参考にスクリーンショットを貼っておきます。

Chatbot を作る

上記で登録したモデルを指定し、Max Tokens は 4096 あたりにします。この値であれば 32GB RAM でも 100% GPU で動きます。QwQ からの回答に中国語が混じるのを防ぐには、下の System プロンプトを使ってみてください。100% ではありませんが、効果はあります。

中国語は絶対に使わないでください。日本語の質問は常に日本語で答えてください。
While answering, never ever use Chinese. Always answer in Japanese or English based on language used.
Ollama のモデルに比べて、OpenAI API コンパチは指定できるパラメータ数が少ない

さて、これで準備が整ったので、公開して実際に試してみましょう。

Dify では正確な数字での比較ができないが、体感は速い

さてこれで準備が整ったので、GGUF (ollama pull qwq:32b-preview-q4_K_M) と MLX を使った同じ条件のチャットボットを作り、同じ質問をいくつも投げて違いを見てみました。見た目は確かに MLX 版の方が文字の出力が速いです。ただ、Dify アプリのダッシュボードである「監視」での比較だと GGUF が 6トークン/秒くらいに対し、MLX が 18トークン/秒と 3倍速い結果になっていますが、実際にそこまでの違いはありません。個別のチャットのステータスが見れる「ログ&アナウンス」で確認できる経過時間とトークンの合計から算出すると、GGUF は大体 12トークン/秒くらいで、MLX は 35トークン/秒くらいとなるのですが、実際に出力されている文字数をざっと見比べてもそこまでの違いはありません。むしろ明らかに Ollama から多くの文字を受け取っているのに、MLX-LM から受け取ったトークン数の方が多くカウントされています。トークンの算出方法が違うのかもしれません。今回試しませんでしたが、英語でやると正確に調べられるかもしれません。また、単純に GGUF (llama.cpp) vs MLX-LM のガチンコ勝負をするなら、スクリプトを書いて比較するのが良いと思います。

追記: 本ブログの英訳記事を書く際に英語でテストを実施したところ、MLX の方が 30-50% 速い結果となりました。使ったプロンプトも載せてあります。

MLX-LM に乗り換えられるか?

QwQ や特定のモデル固定で構わないなら MLX-LM はアリだと思います。Mac の電源を切る習慣がある方は、別のブログ記事に書いたスクリプトエディタでアプリケーションを作る方法でログイン時に実行させれば勝手にモデルが使えるようにしてくれますし。でも、お手軽さと使いやすさでは Ollama の方が完全に上なので、複数のモデルをとっかえひっかえ使う方には向きません → MLX-LM でも LLM をとっかえひっかえできます (別記事「Alibaba 公式 MLX 版 Qwen3 を他の量子化版と比較」参照のこと)。上で触れた FastMLX はクライアント側からモデルの入れ替えができるようなので、本気で移行を考えるなら選択肢になり得るかと思います。ただ、Ollama 公式 X らしきポストを真に受けると、MLX 対応しそうな感じもあるので、どちらかと言えばそれ待ちですね。いずれにせよ、今回の GGUF vs MLX の趣旨とは外れますが、個人的に QwQ の出力速度はチャットベースであれば十分です。用途に応じて試してみてください。

Image by Stable Diffusion

「リンゴの上で走るロボット」をお願いしたのですが、big apple だと NYC になり、huge apple とすると、そんなものないとガン無視されました。というわけでこんな感じで手を打ちました。日本人の持つ「かわいいロボット」という感覚は西洋にはなさそうです

Date:
2024年12月16日 0:38:20

Model:
realisticVision-v51VAE_original_768x512_cn

Size:
768 x 512

Include in Image:
fancy illustration, comic style, smart robot running on a huge apple

Exclude from Image:

Seed:
2791567837

Steps:
26

Guidance Scale:
20.0

Scheduler:
DPM-Solver++

ML Compute Unit:
CPU & GPU

Dify と Style-Bert-VITS2 でライブ配信風音声チャットを実現 (ローカル専用)

今回作ってみたのは、Dify を使った音声チャットボットです。キーボードからの入力に対し、生成 AI が音声で答えてくれます。遊んでみた感覚としては、ちょっとラグがあってから声で返事があるので、ライブ配信に参加している感じに近いですね。参加したことないですけど。あと、昔で言えば、人工無能を使った BBS シミュレータといったところでしょうか。昔で言い換える必要も無いんですけど。

ローカル専用です

Dify でチャットボットを作り、Ollama のローカル LLM に推論させ、Style-Bert-VITS2 にしゃべらせる、という構成です。もちろん自分で作った (学習させた) 音声モデルを利用できます。Style-Bert-VITS2 が走っているサーバに直接しゃべらせるので、ローカル専用です。Dify には (本記事執筆時の最新版 0.9.1-fix1 でも) 簡単に音声ファイルを再生する機能が無いため、ある意味苦肉の策です。Style-Bert-VITS2 の API サーバに物理的に音声再生能力があれば、Mac じゃなくても今回紹介する (本家を少しいじっただけの) スクリプトで実現できると思います。

環境構築

Dify と Ollama の構築はボクのブログの別記事を見てください。RAM がいっぱい (64GB 以上) あれば、1台の Mac でまかなえます。ボクの Mac は 32GB しか RAM が無いので、Dify を別の Mac (mini) で走らせています。

下の記事で紹介していますが、Style-Bert-VITS2 の CPU 学習可能版を作りました。Mac ユーザや CUDA が動かない環境の方向けです。ブログ記事 (というか GitHub) を参考に環境を作ってください。CUDA が動く環境の方は、本家の Style-Bert-VITS2 で大丈夫です。

API サーバスクリプトの説明

まず、すでに環境構築済みの方は、pydubをインストールしてください。今回新たに構築した場合は、インストールされているはずです。

pip install pydub

しゃべる API サーバの server_speech_fastapi.py は、元のスクリプト server_fastapi.py に音声再生機能を追加しただけです。追加変更箇所は以下ですが、まるごと持って行くならこちらからどうぞ

# サーバサイドで再生する為にインポート
from pydub import AudioSegment
from pydub.playback import play
            # 以下 2行追加して、音声を再生。wav のかわりに、テキストを返す
            speech = AudioSegment.from_file(wavContent, format="wav")
            play(speech)
            #return Response(content=wavContent.getvalue(), media_type="audio/wav")
            return Response(content=text, media_type="text/html")

Response は、音声合成に使用した (クライアントから送られた) テキストです。何の工夫も無くごめんなさい。ただ、音声の再生ということで言えば、音声データをクライアントに送りクライアントが再生するとか、サーバ自身で再生するにしても、一度ファイルとして書き出してから再生する、みたいな余計な処理がない分速いと思います。

設定はconfig.ymlserver:ブロックを少しいじって、ポートの変更と受け付けるテキストの上限をそれなりに変更しましょう。ちなみにdevicempsにしても、CUDA が動かなければ APIサーバスクリプト側でcpuにしちゃいます。v. 1.0.3 で MPS で動くようになりました。利用可能なデバイスを自動で判定します。CPU ならキャパの半分を使用します。 → MPS で音声合成すると声がかすれる現象が確認できています。解決できるまで、CPU で実行してください (GitHub のファイルは更新済み)。→ v.1.1.0 で解決しました (2025.06.06)。音声合成は MPS が使われます。

server:
  device: mps
  language: JP
  limit: 20000 # 文字数の上限
  origins:
  - '*'
  port: 5055 # デフォルトの 5000 から、使っていないポートに変更

API サーバは、仮想環境内から以下コマンドで実行できます。モデルとトークナイザの読み込みに時間がかかります。

python server_speech_fastapi.py

しばらく待って、こうなれば準備完了です。

10-12 19:06:26 | DEBUG  | __init__.py:130 | pyopenjtalk worker server started
10-12 19:06:27 |  INFO  | bert_models.py:92 | Loaded the Languages.JP BERT model from /Users/handsome/Documents/Python/Style-Bert-VITS2-Mac/bert/deberta-v2-large-japanese-char-wwm
10-12 19:06:27 |  INFO  | bert_models.py:154 | Loaded the Languages.JP BERT tokenizer from /Users/handsome/Documents/Python/Style-Bert-VITS2-Mac/bert/deberta-v2-large-japanese-char-wwm
10-12 19:06:27 |WARNING | tts_model.py:397 | No model files found in model_assets/.cache, so skip it
10-12 19:06:27 |  INFO  | server_speech_fastapi.py:116 | Loading models...
10-12 19:06:27 |  INFO  | server_speech_fastapi.py:123 | The maximum length of the text is 20000. If you want to change it, modify config.yml. Set limit to -1 to remove the limit.
10-12 19:06:27 |WARNING | server_speech_fastapi.py:129 | CORS allow_origins=['*']. If you don't want, modify config.yml
10-12 19:06:27 |  INFO  | server_speech_fastapi.py:338 | server listen: http://127.0.0.1:5055
10-12 19:06:27 |  INFO  | server_speech_fastapi.py:339 | API docs: http://127.0.0.1:5055/docs
10-12 19:06:27 |  INFO  | server_speech_fastapi.py:340 | Input text length limit: 20000. You can change it in server.limit in config.yml

テストはウェブブラウザから行うのが簡単です。アドレスバーにこんな感じでしゃべって欲しいテキストとモデル名 (ModelNameを差し替え) を入れてエンターキーを叩いてください (スピーカのボリュームに注意!)。

http://localhost:5055/voice?text=こんにちは!おしゃべりできて、うれしいです!&model_name=ModelName

API サーバを自分の Mac/PC で実行していれば、スピーカーなどから音声が流れた後にブラウザに「こんにちは!おしゃべりできて、うれしいです!」と表示されるはずです。ターミナルにも SUCCESS が出ていれば OK です。次に進みましょう。

Dify で AI アプリを作る

チャットボットを Chatflow で作ってください。

LLM はお好きなのをどうぞ。Ollama でローカルモデルを使用される方は、日本語が多少怪しくてもレスポンスが速い、軽めのモデルが良いと思います (参考まで、ボクは qwen2.5:14b-instruct-q8_0 を Temperature: 0.7、Top_P: 0.9、Keep Alive: 30m で使っています。普段よく使っている Llama3.1 だと内容によっては全く答えてくれないのですが、Qwen 2.5 は多少攻めた会話もできます)。

SYSTEM プロンプトにはキャラ付けの他、「簡潔に」「markdown を使用しない」「日本語のみ」「英語や中国語は絶対に使わない」という内容を入れておくのが良いでしょう。Style-Bert-VITS2 にいい感じにしゃべってもらうには、とにかく日本語であることが重要です。

次に、LLM と回答をつなぐラインをクリックし、「HTTPリクエスト」を追加します。

最低限この内容を設定すれば大丈夫です。

API:

メソッドURL
POSThttp://<IPアドレス>:<ポート>/voice
例: http://192.168.1.12:5055/voice

パラメータ:

キー
textLLM/(x) text
model_name(自分のモデル名)
例: ModelName
入力後はこんな感じ

最後の回答ブロックには、最初から入っている LLM/(x) text か、HTTPリクエストの (x) body が良いと思います。前者はしゃべり出す前に、後者はしゃべり終わってからテキストがチャットに表示されます。

どちらか気に入った方で

ここまでできたらプレビューでテキストの生成や音声の再生をテストし、仕上げに公開しましょう。

これで、基本的なライブ配信風チャットシステムの完成です。システムプロンプトでのキャラ付けをしたり、RAG で知識を入れてあげたり、ムフフな回答もしてくれる LLM を採用したり、お好きなようにお楽しみください。ただし、音声データの著作権を持っていない場合は、あくまでも個人で楽しむだけにとどめてください。

学習につかった音声データと、満足度、そして不安

今回このシステムを楽しむに当たり、5つの mp3 の音声データを合計 40秒弱用意しました。Mac の CPU で学習にかかった時間は 20分ほどです (M2 Max 12-core CPU)。で、実際に Style-Bert-VITS2 がしゃべった感じはどうかというと、かなり良いですね。日本語の発音として相当に自然です。ラグに関しても、音声合成は CPU で処理されますが、LLM による文章の生成よりかなり短いので問題ありません。→ MPS (GPU) で処理するようになったので、結構速いです。

音声データはネットで拾ってきた動画から切り出したもので、内容はファンイベントの告知です。コーパスとして適しているものなのかはわかりませんが、丁寧に視聴者に語りかける口調が素材として良かったのかもしれません。当然 Style-Bert-VITS2 やモデル、トークナイザの性能、日本語への最適化が大きいことは間違いありません。すばらしいシステムを作り上げてくださった作者様達に大感謝です。

それと、これでチャットしてるとすごく不思議な感じになりますね。LLM に、アイドルとして回答して、と指示出ししているだけでそれ以外の知識を与えているわけじゃ無いのに、レスポンスが音声なだけでかなりリアルにアイドルのライブ配信に参加している感じになります (したことないですけど)。以前、Google の AI 研究者か誰かが、AI はついに本当の知能を得た!証拠もある!と会社に報告したことで解雇された、というニュースを見ました。今回この AI アプリで遊ぶことでそのことを思い出しました。ありうるな、と。最近よく聞く「脳がバグる」状況は、かなり簡単に実現できますね。悪意のある LLM を使った場合にどうなるか、ちょっと不安になりました。

ところで Style-Bert-VITS2-Mac の学習の MPS 化はどうなったのか

PyTorch の Nightly ビルドはすでに AMP Autocast で MPS をサポートしており、学習用のコードはほぼ動くようになりました。6秒のファイルの学習は、1分20秒ほどで完了します。ただし、エラー無く処理が終わるようにコードをいじると完成したモデルは誰か知らない女性の声になり (ホラー?)、いじらずに実行するとロスの処理の部分でエラーとなり、失敗します。ボクには PyTorch や機械学習の知識や学習が足らず、不具合の特定ができないので Issue も上げられていない状況です。気になる方は、GitHub に上げているコードを見てみてください。853行目の+ loss_dur + loss_klを削除すると処理は完了し、そのままだと以下のエラーで止まります (実行には、requirements.txt の torch と torchaudio をコメントし、それぞれの nightly をインストールしてください)。

[rank0]:   File "/Users/handsome/Documents/Python/Style-Bert-VITS2-Mac/.venv/lib/python3.11/site-packages/torch/autograd/graph.py", line 825, in _engine_run_backward
[rank0]:     return Variable._execution_engine.run_backward(  # Calls into the C++ engine to run the backward pass
[rank0]:            ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
[rank0]: RuntimeError: view size is not compatible with input tensor's size and stride (at least one dimension spans across two contiguous subspaces). Use .reshape(...) instead.

というわけで Mac ユーザの皆さん、ボクが MPS 化を完成させるのを待つよりも、地道に CPU で学習させた方が速いですよ。

Image by Stable Diffusion

今回のトップ絵は、かなり楽勝で作れたと思います。プロンプトを書き換えたのも 2回くらい。画像のクオリティを上げようと思ってステップ数を上げると急にモニタの向こうに人が増えたりしてゾゾーッとします。不気味の谷とかじゃなくて、普通にホラー映画のやつ。

Date:
2024年10月13日 0:07:02

Model:
realisticVision-v51VAE_original_768x512_cn

Size:
768 x 512

Include in Image:
live video chat streaming event of a popular pop singar. one girl in monitor

Exclude from Image:

Seed:
2850031306

Steps:
25

Guidance Scale:
20.0

Scheduler:
DPM-Solver++

ML Compute Unit:
CPU & GPU

日本語 TTS の最高峰 Style-Bert-VITS2 の学習を mac で実行する

注意!今のところ、macOS での学習は CPU 専用です。

高性能日本語 text-t-speech である Style-Bert-VITS2 ですが、作者様が公開されているバージョンで学習するには NVIDA GPU が必要です。悔しいのでなんとかならないものかとコードをいじっていたら、mac でも学習ができるようになりました。公開時点では、まだ CPU のほんの少しの力しか使えないので非常に遅く、6秒の音声の学習に M2 Max 12 コア CPU で 7分 20秒 5分 11秒かかる状態です。とは言えこれまで macOS では既存モデルを使った音声合成しかできなかったわけですから、個人的には大きな前進だと思っています (試してないですが、他の OS でも動くかもしれません。NVIDIA GPU を持っていない、Windows や Linux の方はお試しの上、結果を教えてください)。

というわけで、とりあえず公開します。

コードと詳細は GitHub へどうぞ

インストール方法と固有の使い方は GitHub でご確認ください。

GitHub: https://github.com/tokyohandsome/Style-Bert-VITS2-Mac/tree/master

PyTorch を知らぬ男がどうやったのか

基本は気合い、そして諦めない気持ち。計算するデバイスをcudaからmpsにする程度でしょ、と思っていたら全然うまくいかず、まずはcpuでとにかく動かそう、と方針転換。エラーが出ては PyTorch 2.3 の公式ドキュメントを読み、Deepseek Coder V2 の力も借りながら一つ一つ潰していく作業。時に自分のひらめきに助けられ、二晩後。無事にトレーニングが終わり、モデル一覧に追加された音声で聞いた「こんにちは、初めまして。あなたの名前はなんていうの?」の美しさたるや。プログレスバーが動き出してから完了するまでに数分待たされたのも、今思えば粋な演出でしたね。ま、ともあれ話を戻すと、コードで実行される処理自体は複雑では無く基本的に上から下へ、なので、一つ一つ CPU で処理するようにしていっただけ、ということになります。

これからどうするか

MPS で動かすのはまだいくつもハードルがありそうなので、CPU をバンバン使って高速化できないのかな、と考えています → 使用できるコア数の半分を使用するようにし、少し高速化しました (v1.0.1)。Whisper を macOS で動かすのは多分 MLX 版が良い (しかない?) と思うのでそこをどうにかしたり、複数の音声ファイルがあればesd.listを自動生成するくらいはできそうですよね。スタイルまで手を出すかどうかはまだわかりません。とりあえずもっと学習を高速化して、モデルの品質を高める作業時間を減らしたいです。

おや?いつの間にか Whisper は pip で入れられる時代なんですね: mlx-whisper

Image by Stable Diffusion

Web UI にいる女子キャラや日本語が得意ということから、日本人の女の子をいくつか描かせたのですが全くイメージと違い、manga 調で競争している女子を描かせても顔が破綻していて多方面から怒られそうだったので、アプローチを全く変えました。深い森からやっと抜け出せた喜びと今の季節感を盛り込んだ、情緒的なトップ絵です。

Date:
2024年10月4日 23:12:07

Model:
realisticVision-v51VAE_original_768x512_cn

Size:
768 x 512

Include in Image:
photo realistic beautiful nature in the late summer. fresh air and sunshine

Exclude from Image:

Seed:
3212833797

Steps:
23

Guidance Scale:
20.0

Scheduler:
DPM-Solver++

ML Compute Unit:
CPU & GPU

【Mac 専用】OpenVoice で音声クローン

音声クローン技術の OpenVoice を Mac にインストールして使ってみました。作業を始めてから実際に使えるようになるまで結構大変だったので、やり方をまとめます。また、OpenVoice V2 は日本語ネイティブ対応ということですが、TTS (Text-To-Speech) に使われている MeloTTS の日本語能力がよろしくないので、macOS に標準搭載されている say コマンドで生成した音声を元にクローン音声を生成するスクリプトを書きました。そちらはなかなかの成果が出たので、合わせて紹介します。

OpenVoice (オフィシャル GitHub): https://github.com/myshell-ai/OpenVoice/

Weel さんの紹介記事 (こちらで知りました): https://weel.co.jp/media/tech/openvoice

注意点

OpenVoice v2 は MIT ライセンスで公開されているので、ソースコードも生成された音声も商用利用可能です。ただし、クローン元となる音声を利用する権利を有していない場合は、商用か否かにかかわらず生成された音声を公開する権利はありません。現在の法律がどうであれ、AI の進歩と共に法整備も進んでいくはずです。声やしゃべりで生計を立てている方々もいる以上、許可無く誰かの音声を使用することは何らかの形で罰せられる可能性があります。そのことを理解した上で本記事を読み進めてください。また、ご自身の音声データを公開する場合においても、ライセンスの明記は行うようにしましょう。

免責事項:
このサイトで提供される情報や方法を使用して行われた行為については、私たちは一切の責任を負いません。特に、他人の無断使用または違法な手段によって得られた音声データを使用して音声クローンを作成し、公開することは完全に利用者の自己責任であり、その結果として生じるあらゆる問題やトラブルについても当方は何ら関知せず、一切の責任を負わないものとします。

法律により保護された著作権やパブリシティ権等が侵害される可能性のある行為を行う際には、利用者は事前に適切な法的措置を講じ、自己のリスクにおいて行動するものとし、当方はその結果生じる一切の損害について責任を負わないものとします。

なお、この免責事項は日本国の法律に基づいて解釈されるものとし、適用されるべき法域については当事者の本拠地が所在する国または地域の法律ではなく、日本国の法律を選択的に適用することに同意するものとします。

以上のご理解とご了承をいただきますようお願い申し上げます。

環境

動作確認ができた環境

macOS: 14.5
ffmpeg version 7.0.1
pip version 24.2

環境構築手順

入っていなければ、ffmpeg をインストール (もちろん brew が必要です):

brew update
brew install ffmpeg

ディレクトリを作って OpenVoice リポジトリをクローン。ディレクトリ名はお好きにどうぞ:

mkdir OpenVoice
cd OpenVoice
git clone https://github.com/myshell-ai/OpenVoice.git .

仮想環境を構築して入る。ボクは得意のpipenvですが、これもお好きなのをお使いください。Python は 3.9 必須らしいです:

pipenv --python 3.9
pipenv shell

pipを最新にし、torchchardet、そして OpenVoice をインストール:

python -m pip install --upgrade pip
pip install torch chardet
pip install -e .

OpenVoice V2 をダウンロードして展開:

※ チェックポイントの最新版 (unzip の対象) は、https://github.com/myshell-ai/OpenVoice/blob/main/docs/USAGE.md の Download the checkpoint from here and extract it to the checkpoints_v2 folder. で確認のこと!

wget https://myshell-public-repo-host.s3.amazonaws.com/openvoice/checkpoints_v2_0417.zip
unzip checkpoints_v2_0417.zip
rm checkpoints_v2_0417.zip

以下に従ってファイル openvoice/se_extractor.py を編集 (22行目のcudacpuにし、float16float32に変更):

[[[IMPORTANT]]] modify OpenVoice source for Apple Silicon Mac: https://github.com/reid-prismatic/OpenVoice-Scribe/commit/f681f5bcbc18df3f356953928a78ba6dcff9de99

def split_audio_whisper(audio_path, audio_name, target_dir='processed'):
    global model
    if model is None:
        model = WhisperModel(model_size, device="cpu", compute_type="float32")
    audio = AudioSegment.from_file(audio_path)
    max_len = len(audio)

(ここは必要な場合のみ) OpenVoice V2 オフィシャルでは、音声生成 (TTS、Text-To-Speech) に MeloTTS を使用しているため、別途インストールする手順が示されています。個人的に日本語の能力は不十分だと思いますが、気になる方、オフィシャルの方法でまずは進めたい方は以下も実施してください:

git clone https://github.com/myshell-ai/MeloTTS
cd MeloTTS
pip install -e .
python -m unidic download

(MeloTTS のテストをしたい場合のみ) 以下にテスト用のサンプルコードを貼っておきます (★ MeloTTS テストコード ★をクリックするとコードが開きます)。python japanese.py で実行し、生成された jp.wav をファインダで QuickLook もしくは Terminal からafplay jp.wav で再生できます。テキストの文面は上で紹介した Weel さんの記事の一部ですが、アルファベット表記の “OpenVoice” がガン無視されたり、音引きが部分的にスルーされたり、読点で溜めが無かったり、なんとなく中国語っぽい癖があったり、という感じで、実用するにはきびしいです。ちなみに初回実行時はファイルのダウンロードが発生するので時間がかかります。

★ MeloTTS テストコード ★
from melo.api import TTS
import time

# Speed is adjustable
speed = 1.0
device = 'cpu' # 'mps' にしても動くが、速くはならない

start = time.time()

text = """
OpenVoiceは、正確なトーンカラーのクローニング、柔軟な声のスタイル制御、ゼロショット多言語クローニングを可能にする音声クローニング技術です。

OpenVoiceを使用すると、リファレンス スピーカーの音色を複製するだけでなく、感情、アクセント、リズム、ポーズ、イントネーションなどの音声スタイルをきめ細かく制御できます。

これを使用するとこのような音声が生成できます。
"""
model = TTS(language='JP', device=device)
speaker_ids = model.hps.data.spk2id

output_path = 'jp.wav'
model.tts_to_file(text, speaker_ids['JP'], output_path, speed=speed)

print(f'\nかかった時間: {round(time.time()-start, 2)} 秒\n')

OpenVoice を使う

クローンしたい音声を準備

環境の準備ができたら、クローンしたい音声ファイルを準備します。なるべく高品質で、他の人の声や雑音、BGM 等が入っていない、10秒以上の音声がよさそうです。参考まで、ffmpegで MP4 の映像ファイルから MP3 の音声を書き出すなら、こんな感じで行えます:

ffmpeg -i input.mp4 -vn -acodec libmp3lame myvoice.mp3

OpenVoice/resources フォルダに入れておきます (ファイル名 myvoice.mp3はサンプルコードで使用しているので、そのまま使いましょう):

cp myvoice.mp3 resources

まずはオフィシャルのテストコードで試す (MeloTTS 必須)

オフィシャルのサンプルコード (demo_part3.ipynb GitHub で見るならこちら) を適当にいじって日本語だけ生成するようにし、かかった時間を表示するようにしたものがこちらです。上の手順で MeloTTS をダウンロードした場合はこれでクローンのテストが行えます。OpenVoice ディレクトリ直下においてpython test.pyで実行します:

import os
import torch
from openvoice import se_extractor
from openvoice.api import ToneColorConverter
from melo.api import TTS
import time

home_dir = './'
ckpt_converter = home_dir + 'checkpoints_v2/converter'
device = "cuda:0" if torch.cuda.is_available() else "cpu"
output_dir = 'outputs'

start = time.time()

tone_color_converter = ToneColorConverter(f'{ckpt_converter}/config.json', device=device)
tone_color_converter.load_ckpt(f'{ckpt_converter}/checkpoint.pth')

os.makedirs(output_dir, exist_ok=True)

reference_speaker = home_dir + 'resources/myvoice.mp3' # This is the voice you want to clone
target_se, audio_name = se_extractor.get_se(reference_speaker, tone_color_converter, vad=False)

texts = {
    'JP': "彼は毎朝ジョギングをして体を健康に保っています。"
}

src_path = f'{output_dir}/tmp.wav'

# Speed is adjustable
speed = 1.0

for language, text in texts.items():
    model = TTS(language=language, device=device)
    speaker_ids = model.hps.data.spk2id

    for speaker_key in speaker_ids.keys():
        speaker_id = speaker_ids[speaker_key]
        speaker_key = speaker_key.lower().replace('_', '-')

        source_se = torch.load(f'checkpoints_v2/base_speakers/ses/{speaker_key}.pth', map_location=device)
        model.tts_to_file(text, speaker_id, src_path, speed=speed)
        save_path = f'{output_dir}/output_v2_{speaker_key}.wav'

        # Run the tone color converter
        encode_message = "@MyShell"
        tone_color_converter.convert(
            audio_src_path=src_path,
            src_se=source_se,
            tgt_se=target_se,
            output_path=save_path,
            message=encode_message)
 
print(f'\nかかった時間: {round(time.time()-start, 2)} 秒\n')

生成された音声は outputs に保存されます。afplay outputs/output_v2_jp.wav で再生しましょう。サンプルの文章がちょうど良いのか悪くない感じがするものの、文章をいろいろ変えて試すと結構きびしいことがわかってきます。でもこれって、OpenVoice の問題じゃないんです。

OpenVoice はボイスチェンジャーである

outputs ディレクトリには output_v2_jp.wav 以外に、tmp.wav ファイルがあるのがわかります。実はこれは MeloTTS で作られた、ベースとなる音声ファイルです。OpenVoice はその音声を、ユーザが用意した音声の特徴で置き換える、つまり乱暴に言うとボイスチェンジャー的なことをしています。音楽で言えばピアノで弾いた曲の音色をギターに変えるようなことをしているので、ベースのアクセントを踏襲しますし、他の言語でもしゃべれてしまう、というわけです。

ええぃ、MeloTTS はキツい!Siri さん、お願いします!

我らが macOS にはいにしえ (Mac OS 9?) より音声合成技術が備わっております。Siri さんなんかは iPhone の普及も相まって、なかなかに鍛わっています。面倒なインストール作業も必要なく、ファイルへの書き出しにも対応しています。というわけでボクはあまり使えない MeloTTS を捨て、音声合成部分に macOS 標準搭載のsayコマンドを使用することにしました。簡単なオプションも追加したスクリプトを書いたので紹介します。名付けて clonesay (クローンせい!) です。やかましいですね。

python clonesay.py でとりあえず動きます (-hを付けると、利用できるオプションの一覧を表示します)。macOS で指定されている音声で、テスト用に入れているデフォルトのテキストを音声合成し、myvoice.mp3 の声色にクローンして outputs/output_jp.mp3 として書き出してくれます。実行中にはごちゃごちゃと英文が表示されますが、最終的に「かかった時間」が表示されればおそらく問題無いはずです。

import os
import torch
from openvoice import se_extractor
from openvoice.api import ToneColorConverter
import time
import subprocess
import argparse

# macOS の 'say' コマンドを使用して、ベースとなる音声ファイルを生成
def text_to_speech(text, output_file):
    command = ['say', '-o', output_file, text]
    subprocess.run(command)

# 引数を解析するための設定
parser = argparse.ArgumentParser(description='OpenVoice を利用して音声のクローニングを行います。事前にクローンしたい音声ファイルを resources/myvoice.mp3 \
                                 として保存してから実行してください。macOS の "say" コマンドを利用しています。\
                                 https://github.com/myshell-ai/OpenVoice/')
parser.add_argument('-i', '--input', type=str, required=False, help='しゃべらせたいテキストを直接入力します。例 -i "こんにちは、おげんきですか"')
parser.add_argument('-f', '--file', type=str, required=False, help='しゃべらせたいテキストが入力されたファイルを指定します。同時に指定した場合は -i が優先されます。')
parser.add_argument('-s', '--source', type=str, required=False, help='テキストから音声を生成せずに、指定した既存の音声ファイルを元にクローンを作成します。\
                    同時に指定した場合は -i、-f が優先されます。')
parser.add_argument('-o', '--output', type=str, required=False, help='出力するファイル名を指定します。利用できるフォーマット: mp3(デフォルト), aiff, wav.')
parser.add_argument('-r', '--reference', type=str, required=False, help='クローン元となる音声ファイルを指定します。\
                    初回指定時には必要なデータが processed ディレクトリに作成されます。')
parser.add_argument('-p', '--play', action='store_true', required=False, help='生成された音声を自動再生します。')
args = parser.parse_args()

home_dir = './'
device = 'cpu'
ckpt_converter = home_dir + 'checkpoints_v2/converter'
tone_color_converter = ToneColorConverter(f'{ckpt_converter}/config.json', device=device)
tone_color_converter.load_ckpt(f'{ckpt_converter}/checkpoint.pth')
output_dir = 'outputs'
language = 'jp'
src_path = f'{output_dir}/tmp.aiff'

os.makedirs(output_dir, exist_ok=True)
start = time.time()

# クローン元となる音声ファイルの指定
if args.reference:
    reference_speaker = args.reference
else:
    reference_speaker = home_dir + 'resources/myvoice.mp3' # クローン元となる音声ファイル

target_se, audio_name = se_extractor.get_se(reference_speaker, tone_color_converter, vad=False)

# 発声するテキストを指定もしくは、既存の音声ファイルを指定
if args.input:
    input_text = args.input
#elif os.path.isfile(args.file) and os.path.getsize(args.file) > 0:
elif args.file and os.path.isfile(args.file):
    with open(args.file, 'r', encoding='utf-8') as file:
        input_text = file.read()
elif args.source:
    src_path = args.source
    input_text = ''
else:
    input_text = """
    しゃべらせたい文章を、ダッシュアイで指定してください。その他利用可能なオプションは、ダッシュエイチで確認できます。
    """

# 発声するテキストの元となる音声ファイルを生成
if input_text != '':
    text_to_speech(input_text, src_path)

source_se = torch.load(f'checkpoints_v2/base_speakers/ses/{language}.pth', map_location=device)
save_path = f'{output_dir}/output_{language}.mp3' # デフォルトの出力ファイル

# 出力ファイル名の指定がある場合
if args.output:
    output_extension = os.path.splitext(args.output)[1].lower()
    if output_extension in {'.mp3', '.aiff', '.wav'}:
        save_path = args.output
    else:
        save_path = os.path.splitext(args.output)[0] + '.aiff'
else:
    save_path = f'{output_dir}/output_{language}.mp3'

# OpenVoice processing part
# Run the tone color converter
encode_message = "@MyShell"
tone_color_converter.convert(
    audio_src_path=src_path,
    src_se=source_se,
    tgt_se=target_se,
    output_path=save_path,
    message=encode_message)
 
print(f'\nかかった時間: {round(time.time()-start, 2)} 秒\n')

# Play the generated MP3 file using the default media player
if args.play and os.path.isfile(save_path):
    # Use afplay for macOS, which is a simple command-line audio player
    print(f'ファイル: {save_path}')
    if input_text !="":
        print(input_text)
    subprocess.run(['afplay', save_path])
else:
    print("The output file does not exist.")

簡単にいろいろ試すなら、-iオプションでテキストを入力し、-pで生成後に再生するようにするのが良いと思います。例えばこんな感じ:

python clonesay.py -p -i "本日皆さんに集まっていただいたのは、\
新しいエーアイ活用の方法を議論するのが目的です。どうぞ、よろしくお願いします。"

(“AI” は “エーアイ” にするなど、工夫は必要です)

macOS の音声を変えてみる

多分 macOS デフォルトの音声は Siri (声 2) ですが、さすがに男性の声に寄せるのはきびしいと思います。そのような場合には、システム設定で変更しましょう。コマンドでのやり方はみつかりませんでした (声の管理… から、追加もできるようです)。

システム設定… → アクセシビリティ → 読み上げコンテンツ → システムの声

感想

AI による音声のクローニング手法はいくつかあるようで、以前 GPT-SoVITS というのをいじったときには結構衝撃的な結果でした。数秒の音声からかなり高い再現度だったからです。今回はたまたま Weel さんで見つけた OpenVoice を試したわけですが、正直クローニングのクオリティとしては劣っていると感じています。ベースの音声 (Siri さん) に寄りすぎだな、と。ただ、今後ベースの TTS (Text-To-Speech) の性能がとんでもなく高く、自分がクローンしたい声質に近いものが現れたときには TTS だけ乗り換えれば良いわけで、将来性はあるのかもしれない、とも思っています。また、OpenVoice は TTS に頼らない技術です。なので、ボクのサンプルスクリプトの-sオプションでリアルの人物がしゃべった音声ファイルをソースとして指定すれば、ナチュラルな結果が得られるでしょう。何か使い道はありそうですよね。mac ユーザの方は遊んでみてください。

Image by Stable Diffusion (Mochi Diffusion)

今回の画像は何のひねりも無いプロンプトで描いてもらいました。ステップ数が高ければキレイになったりリアルになったりするわけでも無いんですよね。ランダムでしばらく回し、めぼしい Seed 値が見つかった後は何度か Steps の増減を繰り返し、指と女性の顔が一番ブキミじゃなかった、マシだった、という一枚に決めました。

Date:
2024年9月23日 23:14:52

Model:
realisticVision-v51VAE_original_768x512_cn

Size:
768 x 512

Include in Image:
human voice clone technology

Exclude from Image:

Seed:
85304328

Steps:
25

Guidance Scale:
20.0

Scheduler:
DPM-Solver++

ML Compute Unit:
All

Meta のオーディオ生成 AI モデル、AudioGen を macOS の MPS (GPU) で動かす

Facebook でおなじみの Meta 社がリリースした AudioCraft は、英語のテキストから音楽や音声 (効果音) を生成できる AI です。2023年 6月に最初の v0.0.1 が、そして 2024年 5月には v1.3.0 がリリースされており、ローカルでも実行できます。ただし、生成に使えるのは NVIDIA GPU もしくは CPU となり、macOS では CPU のみしか正式に対応していません。悔しいですよね。いろいろ調べて試した結果、効果音を生成する AudioGen であれば Apple Silicon の GPU である MPS (Metal Performance Shaders) を使って生成速度を上げることができました。本記事ではその方法を公開します。

AudioCraft: https://ai.meta.com/resources/models-and-libraries/audiocraft

GitHub: https://github.com/facebookresearch/audiocraft

はじめに

AudioCraft のコードは MIT ライセンスでリリースされていますが、モデルの重み (Hugging Face からダウンロードされる学習済みファイル) は CC-BY-NC 4.0 という、商用利用不可のライセンスでの公開となります。生成物を何らかの形で公開する際はご注意ください。

AudioCraft には、音楽を生成する MusicGen というモデルも含まれています。また、より新しく、速く、高性能らしい MAGNeT というモデルもあるのですが、これらを MPS で動かすことはできませんでした。動きは活発ではないものの、open の issue もいくつか GitHub にあるので、そのうち正式対応するかもしれません。ただ、ローカルで無料で動かせるとは言え Stable Audio の様に使用料を払えば商用利用できるというわけでもなく、OSS プログラマーのチャレンジ精神以外の力が積極的に働くこともなさそうなので、過度な期待はできないと思っています。

環境構築

動作確認ができた環境

macOS: 14.5
ffmpeg version 7.0.1

環境構築手順

入っていなければ、ffmpeg をインストール (もちろん brew が必要です)

brew install ffmpeg

ディレクトリを作って AudioCraft リポジトリをクローン。ディレクトリ名はお好きにどうぞ

mkdir AudioCraft_MPS
cd AudioCraft_MPS
git clone https://github.com/facebookresearch/audiocraft.git .

仮想環境を構築して入る。ボクは得意のpipenvですが、これもお好きなのをお使いください。Python は 3.9 以上必須です

pipenv --python 3.11
pipenv shell

PyTorch をバージョン指定 (2.1.0) でインストール

pip install torch==2.1.0

requirements.txtxformers のバージョンを0.0.20に固定。MPS では xformers は使えませんが、このやりかたが一番簡単でした。以下例では、vimを使っていますが、お好きなテキストエディタでどうぞ

vi requirements.txt
#xformer<0.0.23
xformers==0.0.20

もろもろをインストールして、環境は完成

pip install -e .

生成に MPS を使うようにファイルを変更

下記ファイルを変更し、エンコーディングにのみ MPS を使用するようにします。

audiocraft/models/encodec.py

クローンしたリポジトリのバージョンによって行番号が異なる可能性がありますが、class EncodecModel(CompressionModel):の中のdecode()メソッドが対象です。ハイライト部分の最初のout = self.decoder(emb)をコメントアウトし、その下のif~elseのブロックを追加します

    def decode(self, codes: torch.Tensor, scale: tp.Optional[torch.Tensor] = None):
        """Decode the given codes to a reconstructed representation, using the scale to perform
        audio denormalization if needed.

        Args:
            codes (torch.Tensor): Int tensor of shape [B, K, T]
            scale (torch.Tensor, optional): Float tensor containing the scale value.

        Returns:
            out (torch.Tensor): Float tensor of shape [B, C, T], the reconstructed audio.
        """
        emb = self.decode_latent(codes)
        #out = self.decoder(emb)
        # Below if block is added based on https://github.com/facebookresearch/audiocraft/issues/31
        if emb.device.type == 'mps':
            # XXX: Since mps-decoder does not work, cpu-decoder is used instead
            out = self.decoder.to('cpu')(emb.to('cpu')).to('mps')
        else:
            out = self.decoder(emb)

        out = self.postprocess(out, scale)
        # out contains extra padding added by the encoder and decoder
        return out

↑ のコードは、偉大なる EbaraKoji 様 (お名前から、日本の方のような?) の issue ↓ からいただきました。フォークされたリポジトリそのものは動きませんでした。残念。

https://github.com/facebookresearch/audiocraft/issues/31#issuecomment-1705769295

音声生成コード

どこかからいただいてきたコードに少し手を加えたものです。保存場所はどこでもいいのですが、一応他の実行用コードと一緒にdemosディレクトリに入れておきましょう。

from audiocraft.models import AudioGen
from audiocraft.data.audio import audio_write
import argparse
import time

model = AudioGen.get_pretrained('facebook/audiogen-medium', device='mps') # mps で Apple Silicon の GPU を指定
model.set_generation_params(duration=5)  # [duration] 秒のファイルを生成

start = time.time()
def generate_audio(descriptions):
  wav = model.generate(descriptions)  # 引数として与えられたテキスト全ての音声を生成
  
  for idx, one_wav in enumerate(wav):
      # {idx}.wav というファイルを生成。音の大きさ loudness は -14 db LUFS で平準化
      audio_write(f'{idx}', one_wav.cpu(), model.sample_rate, strategy="loudness", loudness_compressor=True)
      print(f'{idx}.wav を生成')
      print(f'かかった時間: {round(time.time()-start, 2)} 秒')

if __name__ == "__main__":
    parser = argparse.ArgumentParser(description="Generate audio based on descriptions.")
    parser.add_argument("descriptions", nargs='+', help="List of descriptions for audio generation")
    args = parser.parse_args()
    
    generate_audio(args.descriptions)

6行目のdevice='mps'がキモです。これで GPU で生成してくれます。これを'cpu'にすると生成速度が遅くなりますが、メモリは消費されません。また、学習済み音声モデルは他にもfacebook/audiogen-smallがあります (ボクは試していません)。

7行目のduration=5は、生成する音声の長さを 5秒に指定しています。

使い方

注意: 初回実行時には学習済み音声モデルがダウンロードされるので、その分時間がかかります。

以下のように、欲しい効果音の内容を英語で引数として渡してあげると、0.wav, 1.wav,... と音声ファイルが生成されます。引数は一つでも複数渡しても生成速度はほとんど増えないので、一度にいくつか作ってもらうのが良いと思います。

python demos/audiogen_mps_app.py "text 1" "text 2"

実行例:

python demos/audiogen_mps_app.py "heavy rain with a clap of thunder" "knocking on a wooden door" "people whispering in a cave" "racing cars passing by"
/Users/handsome/Documents/Python/AudioCraft_MPS/.venv/lib/python3.11/site-packages/torch/nn/utils/weight_norm.py:30: UserWarning: torch.nn.utils.weight_norm is deprecated in favor of torch.nn.utils.parametrizations.weight_norm.
  warnings.warn("torch.nn.utils.weight_norm is deprecated in favor of torch.nn.utils.parametrizations.weight_norm.")
0.wav を生成
かかった時間: 61.05 秒
1.wav を生成
かかった時間: 61.1 秒
2.wav を生成
かかった時間: 61.16 秒
3.wav を生成
かかった時間: 61.22 秒

M2 Max 32GB RAM だと、メモリプレッシャーが低い状態から始めれば、5秒のファイルは 60秒前後、10秒のファイルは 100秒前後で生成されます。

実行直後 warning が出ますが、動いているので深追いしてません。PyTorch (torch) のバージョンを上げることがなければ無視してかまわないかと思います。

音楽の生成 MusicGen や MAGNeT は MPS を使えず

音楽を生成する MusicGen も MPS で動かせないかと試したのですが、同じ様な方法では無理でした。CPU であれば動くので、python demos/musicgen_app.pyで GUI を試せます。

MAGNeT はよりイケてるバージョンらしいのですが、CPU でも動かすことはできませんでした。こちら ↓ の issue を見ると、リンクされている commit で動くっぽいのですが、ボクはできませんでした。

https://github.com/facebookresearch/audiocraft/issues/396

というわけで、今回はここまで。

Image by Stable Diffusion (Mochi Diffusion)
毎回書いているこの部分は、今回から開いた人だけ見れるようにします。本文とあまり関係ないので。
今回は簡単なプロンプトでいくつも良いのを作ってくれました。その中で一番集合恐怖症の人への影響が小さそうなのをピックアップしました。

Date:
2024年7月22日 1:52:43

Model:
realisticVision-v51VAE_original_768x512_cn

Size:
768 x 512

Include in Image:
future realistic image of audio generative AI

Exclude from Image:

Seed:
751124804

Steps:
20

Guidance Scale:
20.0

Scheduler:
DPM-Solver++

ML Compute Unit:
All

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